光ファイバの主要な素材であるシリカガラス中では、希土類元素のドーピングによるクラスタ化が容易に発生し、それらの影響から濃度消光を引き起こす。そのため、今日でも研究に用いられている希土類ドープファイバは2000ppm程度までの濃度で使われているのが現状である。本提案はZeolite法という我々が新しく開発したシリカガラス中への希土類元素の高濃度ドーピング手法(1.25wt%(Nd_2O_3)で量子効率が81%)を用いて、光ファイバのコア材料を製作し、光ファイバの線引き装置を用いて、これまでにない、高濃度希土類ドープコアを持つ光ファイバの製造とそれを用いた超短尺型のファイバレーザーの実現を目的とするものである。 昨年度、確認されたレーザー発振における問題点である強励起によるアップコンバージョン現象は、該当短尺ファイバを適切に冷却することにより解決されることが分かった。冷却の手法を検討し、利得の増加を得ることで、上記問題は解決され、世界で初めて5cmの短尺光ファイバでレーザー出力10mW達成し、装置構成の最適化によりさらなる高出力化が可能なことが分かった。 今後、更に短尺化を進めることで、100GHzを超えるクロックを安価に構成する光源としてや、他の希土類元素の短尺ファイバによる医療、精密加工、マーキングなどの様々な分野への応用が可能となる。現在、以上の成果をまとめ、論文執筆中である。
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