青から紫外領域(波長450nm以下)の光センサは、近年、制御・計測の需要が多くなっている。光センサは量子効率を高くする事により計測・制御をより効率的に行える。炭化珪素(SiC)は、ワイドバンドギャップで過酷な環境でも耐久性のある半導体材料なため、紫外線センサとして適している。しかし、屈折率が高いために反射率が20〜30%と必然的に高いので、材料表面をサブ波長格子に加工した無反射周期構造(Moth Eye構造)を導入することにより、効率の改善が期待できる。今年度は、(1)pn接合型フォトダイオードの分光感度特性に関して設計指針を得られるように、一次元拡散モデルと3C-SiCフォトセンサの分光感度特性の温度特性を比較検討した。また、(2)センサ素子表面にナノレベルの微細周期構造の形成加工プロセスを確立し、反射率特性について評価した。(1)に関して、フォトダイオードの400℃までの分光感度特性を測定しモデルと比較した結果、ライフタイムは温度に対して単調減少ではないことが示唆された。高効率化のためには、窓層を薄くし、キャリア濃度の少ないpn接合にすると有利である。(2)に関しては、4H-SiC Si面エピ基板上に、厚さ50nmの水素化シルセスキオキサン(HSQ)無機ネガレジストに、電子線描画で周期140nmのドットパターンを形成した。現像後、酸素雰囲気中で熱処理を行い、HSQをシリカ構造に転化しドットパターンマスクを形成した。RIEは、塩素・酸素混合ガスにてECRエッチング装置で行い、SicとHSQの選択比が2.5となった。その結果、高さ125nm幅105nmの円錐状のサブ波長格子が作製出来た。波長350nmの反射率は、33%から3%となり、波長550nmの反射率は、25%から10%となった。波長350nmの反射率の入射角偏光依存性は、平坦面に比べて非常に少ないことを確認し、サブ波長格子の効果が認められた。
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