本研究の目的は、テイラー・クエット流れと呼ばれる回転二重円筒間の流れの数値解析を通して、我々が1993年頃から独自に提唱している古典流体力学と量子電磁力学のアナロジー理論の有効性を検証することである。またそれは世界的にも前例のない挑戦的な試みでもある。 最終年度にあたる2010年度に行った研究では、数値解析に関する技術的問題などいくつかの課題が浮かび上がった。そのため当初の研究目的をすべて完全に達成するまでには至らなかったが、アナロジー理論の検証作業を進める中で、近い将来への展望を示すことができ、ある程度の成功を収めることができたと考えている。 これは古典流体力学分野においても量子電磁力学分野においても、また基礎科学的にも応用工学的にも、発展の可能性を秘めた重要な成果であると言える。 具体的には、テイラー・クエット流れの非定常2次元問題と非定常3次元問題の数値解析において、レイノルズ数を増加させていったところ、円筒断面を貫く循環が比例関係からずれて、ステップ状に変化するようにも見える箇所を捉えることができた。このようなテイラー・クエット流れにおける循環の量子化とも言える現象は、円筒形の超伝導体を貫く磁束の量子化に対応しており、我々が1993年頃から独自に提唱しているアナロジー理論の有効性を示す一つの証拠となる。これらの研究成果の一部については、日本機械学会流体工学部門講演会において口頭発表を行った。その後も研究を継続し、最終的な研究成果については、適切な学術雑誌に論文を投稿する予定である。
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