研究概要 |
本研究では,剛節と滑節の中間に位置づけられる柔軟な節(フレキシブル・ジョイント)により結合され,ラバーライクなフレームを部材とする新規なオープンフレーム(OF)構造を創出し,その特異な変形能と構造安定性の調査を目的とする.集束イオンビーム支援の蒸着方法(FIB-CVD)によりナノピラーを製作し,2本のピラーを電子線照射溶接法により接合する.照射時間を変えることにより剛節から柔軟結合節に至る種々の屈転剛性を持つ2部材系システムを用いたナノピラーの曲げ試験方法を提案し,ピラーのサイズ効果を調べる試験を実施した. 本年度では,(1)まず,FIB-CVDにより,種々のサイズを持つサブミクロンスケールのナノピラーを製作した.そして,共振法により,ピラー全体のヤング率E,密度ρを求め,Gaの材料特性を用いて内部構造を同定した.(2)つぎに,各種剛性を測定するための走査型電子顕微鏡(SEM)内試験装置の開発の一環として,2本のナノピラーをSEM内の電子線照射により接合したダブルカンチレバー曲げ試験法(DCB)を提案した.この方法では,荷重を負荷する接触部分の不整合を回避して,ピラーの本質的な曲げ剛性を評価することができる.(3)(2)で提案した試験方法により,微小変形から得られた曲げ剛性は,(1)の試験方法である共振法から得られた曲げ剛性と非常によく一致することを確認した.(4)(2)で提案1した試験方法により,幾何学的な非線形性が顕著になる大たわみ変形を負荷し,剛性が低下した後硬化が顕著になる変形特性を得た.(5)長さおよび直径を種々に変えたサンプルを作成し,サイズ効果を調べた結果,長さ1が短いほど,直径dが大きくなるほど,剛性の低下が大きくなることがわかり,両者の比d/lに依存した変形特性の結果が得られた.
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