研究概要 |
本研究では,金属材料に力学的弾性負荷を与え,その状態で表面凹凸の観察,測定を実施するとともに,同材料にさらに大きな力学的負荷を与えることで,塑性変形や局所破壊を生じさせ,それらと弾性表面凹凸との対応について検討した一また,弾性表面凹凸から材料表面上で局所変形や破壊が開始する箇所を予測するための基礎的検討を実施した.本年度に得られた主な成果を以下に示す. ・ 前年度に実施した予備的実験を基に,表面を電解研磨等により平滑化した純チタン直方体試験片の圧縮中断試験を実施し,その表面をデジタルホログラフィック顕微鏡(以下DHM)で観察した.その結果,平滑化した試験片であっても,その表面に存在するナノオーダーの凹凸により,変形前後における同一場所の同定が可能であるとともに,その凹凸の度合いが圧縮負荷とともに増加していることが明らかとなった.'・局所塑性変形の開始を示すすべり線の発生およびその方向を,材料表面凹凸の方向性を示すパラメータで定量化することが可能であった. ・ 圧縮負荷に伴う高度分布の方向性パラメータの変化から局所塑性変形の開始を予測できる可能性が示された. ・ 純チタン試験片の引張試験を実施し,圧縮試験と同様にDHMで表面高度測定を実施した.その結果,圧縮試験と同様にナノオーダーの凹凸から材料表面上での位置同定が可能であり,また,局所塑性変形が観察された.
|