研究概要 |
ITS、通信・無線分野にける10GHz帯高周波回路設計に必要不可欠な低誘電損失特性を有するフッ素ポリマー銅張積層板を開発する。フッ素ポリマーのメッキ前処理は未だに危険な薬剤を用いた手法が主流であり、フッ素ポリマー表面に対するメッキ前処理技術の抜本的な改革は急務である。 液相中におけるナノレベルの自己組織化と大気圧プラズマプロセスを組み合わせた“大気圧プラズマ液相堆積法"を独自に開発し、フッ素ポリマー表面の銅メタライジングについて検討してきた。プラズマ処理により、フッ素ポリマー表面の脱フッ素化、過酸化物基の導入を行ったのち、既に重合されている錯化高分子と高濃度の銅イオンを含む水溶液超薄膜を積層することにより、過酸化物基を起点とした錯化高分子のグラフト化および銅イオンの捕捉が自発彪に起こることを見出した。ESR,XPS,ATR-IRを用いた表面計測により、フッ素ポリマー側鎖に形成される過酸化物ラジカル密度がグラフト化効率および銅イオン密度に極めて強い相関があることを分子レベルで明らかにした。次に、超薄摸に大気圧ヘリウムプラズマを照射すると、液相から生成される水素ラジカルの作用により銅イオンは速やかに金属銅へ還元され、銅ナノクラスター単層膜が自己組織的に形成されることがわかった。市販の無電解銅めっき浴に浸漬すると、室溜において数分以内に10μm厚の無電解銅めっき層が形成された。この高い反応性は銅ナノクラスター表面の自己触媒作用を示唆している。従前のSnCl_2やPdナノクラスターによる表面活性化処理を必要としない触媒フリー無電解銅めっきプロセスを構築できた。JISH8504に基づき、碁盤目テープ引き剥がし試験をおこなったところほぼ全域において高い密着性を確認した。高密度に集積された錯化高分子の化学結合を介して、フッ素ポリマーと銅界面が強固に連結にされていることを示唆している。
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