研究概要 |
本研究は,ホログラム再生像と参照光による干渉強度の空間的な位相分布から3次元構造を再構成する,新たな「デジタルチューナブル・ホログラフィー干渉法」の基本原理を確立し,ナノ3次元構造インプロセス計測への適用性について検証することを目的とするものである. 平成20年度は,ホログラム再生像・位相再構成シミュレーション技術およびホログラフィー干渉基礎技術を達成するため,以下のシミュレータ構築および基礎実験を遂行した. 1.ナノ3次元構造のホログラム再生光波生成および参照周波数コムレーザ光との干渉波生成を含む計測光学系の数理モデルを構築するため,物体光およびホログラフィ干渉光を計算する基礎的な光解析シミュレータを構築した,まず,FDTD法(有限差分時間領域法)のプログラムであるMEEPを用いて2次元の波面伝搬を計算し,位相回復シミュレータによって位相を回復できることを確認した.さらに得られた複素振幅の位相情報から透過物体の形状が回復させた場合の精度について検証した. 2.本年度は基礎光学系として,従来の位相シフトデジタルホログラフィと異なり,単一のホログラムから測定物の位相分布を取得することができる,並列位相シフトデジタルホログラフィの光学系を構築した,本計測システムでは,光源としてHe-Neレーザ(波長:543.5nm)を,また撮像素子として画素毎に透過軸の異なる偏光子をとりつけた偏光子アレイカメラを用いた.これにより,隣り合う画素の位相値はほぼ一定であるという仮定のもと,4つの画素を1つのユニットとし,1枚の画像から4つの位相シフト画像を近似的に得ることができる.構築した計測システムを用いた位相回復基礎実験を遂行し,ウェッジ基板(傾き角度0.10度±10秒,屈折率1.52)の位相分布計測および位相アンラップ処理により3次元立体像(形状データ)を得ることができた.
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