研究概要 |
本研究は,ホログラム再生像と参照光による干渉強度の空間的な位相分布から3次元構造を再構成する,新たな「デジタルチューナブル・ホログラフィー干渉法」の基本原理を確立し,ナノ3次元構造インプロセス計測への適用性について検証することを目的とするものである.平成21年度は,基本的ホログラフィー干渉・計測技術の確立およびシミュレーションを援用した精度向上を目的として,以下の実験的検討およびシミュレーション解析を遂行した。 1.前年度に構築した並列位相シフトデジタルホログラフィの光学系を利用し,単一のデジタルホログラムから測定物の位相分布および形状を計測する基礎実験を遂行した.まず,位相像の解像度を確認するために,空間周波数が600本/mmのブレーズド回折格子(格子周期1.67μm)を測定した.数値モデルと比較し,格子周期1.67μmの周期の位相変化を得ることが可能な分解能を有していることが確認できた.さらに,直径約22μmのシリカ球を,ガラス基板上に散布させ,その位相像を取得した.その結果,シリカ球によって集光または拡散された光軸方向の透過波面の計測に成功し,曲率変化や集光位置の検出により,シリカ球の光軸方向位置計測ができる可能性を示した. 2.超解像技術の一つであるIBP法を用いて,CCDの画素サイズの半分だけ移動したホログラム4枚を合成して複素振幅像を高解像度化することで,低解像度では解析不可能な微細形状を測定できるアルゴリズムを開発した.さらに,テストターゲットによる検証実験を行い,開口部分の振幅のコントラストを空間周波数ごとに計算し,MTF曲線を超解像前と超解像後で比較することによって,超解像後では高空間周波数の開口においてコントラストが高く,鮮鋭度が改善されることを示した.
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