研究概要 |
時間・空間領域の完全保存形差分スキームと陰的非分離型解法を基に,絶対安定性を有する乱流DNSの計算アルゴリズムを構成した.非圧縮性流れの完全保存形差分スキームにより構成される非線形連立方程式の解法として,JFNK法の適用を検討した.JFNK法に使用されるクリロフ部分空間反復法としてはGMRES (m)法を採用した.大規模問題に対するクリロフ部分空間反復法の適用には前処理の導入が必須であるので,非圧縮流れの非定常数値計算に対する前処理を検討した.フレキシブル前処理(FLP),従来の物理的前処理(SLP),および本研究で提案した物理的前処理(DASLP)を検討し,この中ではDASLPが最も有効であることを確認した.さらに,平板チャネル乱流のDNSとオープンキャビティ流れの数値計算により,提案した手法の有効性を確認した.完全保存形差分スキームを使用すれば大きな時間刻み幅でも計算が可能で乱流が維持されるが,乱流統計量を正確に再現するにはコルモゴロフ時間スケール以下に設定するのが良いことも示された. 以上の成果は,日本流体力学会年会2008で発表した.さらに関連する研究について,第22回数値流体力学シンポジウムで発表した.
|