研究概要 |
本年度は,含水量70%以上のブタの皮膚由来のゼラチンゲルを対象として,100Hz〜6GHzの周波数帯の誘導スペクトルを測定した.その結果,同試料は,質量2/3の水分を結合水として保持できることや,通常の水の約10倍と100倍の時間で緩和する二種類の結合水が存在し,その存在比は自由水の量に依存しないこと等が同測定法で推定できた.このことは,同軸プローブによる誘電測定で,含水率のみならず結合水の詳しい情報が得られることを示唆している. さらに,試料について水分活性測定と示差走査熱量分析による不凍水量の測定を行い,不凍水は結合水と一致すること等がわかった.また,TDR法による誘電スペクトルの測定と解析方法を試み,同じゼラチンゲル試料について,FDR法と同等の結果が得られた.その結果,広範囲の周波数帯の誘電スペクトル測定が,極短時間でできる可能性が示された.次年度は,低含水率のゼラチンゲルの誘電特性を測定して,水分活性や示差走査熱量分析の結果と比較することで,緩和過程と凍結や蒸発の特性の関係を明らかにする予定である.
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