研究概要 |
本年度の研究では,反応選択性を格段に向上できる気液界面プラズマの基礎現象の解明を目的に,触媒・プラズマハイブリッド反応器によるメタン水蒸気改質に関する研究を実施した。触媒は溶液界面を模擬しており,プラズマと触媒機能を持つ界面での現象,すなわち気液界面プラズマを模擬し,触媒・プラズマハイブリッド反応系で種々の反応解析を行った。大気圧非平衡プラズマのみを印加した場合,メタンはほとんど分解しない。これは,電子衝突によるメタン分解反応(C-H結合解離:律速過程)の活性化エネルギーが900kJ/mol_<CH4>と極めて大きいことに起因している。一方,温度が600℃以上であれば,触媒のみでもメタン転換率20%は達成できる。しかし,400℃以下の低温度では触媒を活性化することはできずメタンはほとんど反応しない。一方,プラズマを触媒にハイブリッドさせた場合,相乗効果によりメタン転換率は両者の単純な和より大きくなることを見出した。アレニウスプロット法による反応解析の結果,プラズマをハイブリッドさせることで総括反応速度が約10倍速くなることが明らかになった。しかし,触媒によりメタン転換率,生成物の選択率は触媒の温度で決まる平衡組成により決定されることがわかった。次年度は,化学平衡の制約を受けないメタン/酸素を出発原料とする部分酸化反応によるメタノール直接合成を対象に気液界面プラズマの優位性を実証する。
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