研究概要 |
入眠予兆信号とは、人間が眠りに入る少し手前で観察される前兆信号のことで、本研究では、これまで行ってきた入眠予兆現象の研究内容を掘り下げて学理に繋げるための研究を行う。具体的には、(1)シートに装着した非侵襲センサーの測定精度に関係した、(i)設計条件、(ii)使用条件、(iii)外乱要因の把握による設計・装着方法の提案、(2)カオス解析、ウェーブレット解析、ケプストラム解析の3つの手法による入眠予兆信号の抽出方法と入眠予兆信号発生時期の相互比較検討、(3)入眠予兆現象の原理と測定原理を表すことが可能な数学モデルの提案の3つの事項に付いて研究を実施する。入眠予兆信号の定量的取得が可能になると、作業環境下での睡眠研究のツールとして貢献でき、特に、厳しい環境の下で長時間運転に従事しているトラックやバスドライバーの身体環境管理に役立つことが予想される。 平成20年度は、エアパックセンサーの原理と脈波の測定精度に関する検討を行った。具体的には、ドライバーが居眠りに入る前兆信号を非侵略襲的手法で獲得することを目的として、運転席の背面部に取り付けた空気層と内布層から構成されるエアパックセンサーを適当な位置に取り付けることで、運転中のドライバーの脈波が計測できることを示した。まず、計測の原理を説明するために数学モデルの誘導を行い、次に、体動、呼吸、脈波が入り交じった信号から心拍の揺らぎ情報を取り出すための手法について検討し、指尖容積脈波から得られた情報との比較を行った。 研究の結果、エアパック着座センサーはローパスフィルターを構成しており、カットオフ周波数(約10[Hz])以下の振動数においては,出力振幅はほぼ一定で位相も振動数に対してなだらかに推移することが分かった。また、エアパック着座センサーからの波形は、元波形で扱うようりも、微分演算を施した方が特緒を抽出しやすいことが明らかになった。
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