入眠予兆信号とは、人間が眠りに入る少し手前で観察される前兆信号のことで、本研究では、(1)シートに装着した非侵襲センサーの測定精度に関係した、(i)設計条件、(ii)使用条件、(iii)外乱要因の把握による設計・装着方法の提案、(2)カオス解析、ウェーブレッド解析、ケプストラム解析の3つの手法による入眠予兆信号の抽出方法と入眠予兆信号発生時期の相互比較検討、(3)入眠予兆現象の原理と測定原理を表すことが可能な数学モデルの提案の3つの事項に付いて研究を実施する。 本研究は、センサーの精度に関係する、設計条件、使用条件、外乱要因の把握による設計方法の提案を目的とする部分と、カオス解析、ウェーブレット解析、ケプストラム解析の3つの手法による入眠予兆信号の抽出方法と発生時期の相互比較、および、入眠予兆現象の原理と測定原理を表すことが可能な数学モデルの提案の3つのパートによって構成される。エアパックセンサーの精度に関する検討を平成20年度に実施し、平成21年度は、解析手法間の相関に関する検討を行った。 平成21年度の研究では、カオス解析、ウェーブレッド解析、ケプストラム解析の3つの手法による入眠予兆信号の抽出方法と入眠予兆信号発生時期の相互比較検討を行う予定であったが、これに加えて、被験者の眠気の感応評価の指標としてスリープスコアを提案し、このスコアを用いた入眠予兆の可能性を示すことに成功した。 具体的には、20代の10名の被験者に対して、入眠実験を行い、長周期のトレンドの変化を追うカオス解析、低周波数成分の比率から自律神経の働きを見つけるウェーブレット解析、周波数スペクトルの包絡線の特徴から入眠予兆信号の出現を見つけるケプストラム解析、スリープスコアによる方法を適用して結果の比較を行った。
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