超電導ケーブルの開発において解決すべき重要な技術課題のひとつに電気絶縁がある。現段階における高温超電導ケーブルの開発においては、従来技術の延長として、液体窒素を冷媒として使用するばかりでなく、電気絶縁構成の一部としても用いる方向で検討がなされている。本研究では、現在開発が進められている高温超電導ケーブルで多く採用されている絶縁紙-液体窒素複合絶縁系における電気的弱点である液体窒素を固体である氷に置き換えた絶縁紙-氷複合絶縁系または絶縁紙-ポリプロピレン(PP)-絶縁紙の構成を持つPPLPにより、上記問題の解決を試みた。 BGを設けた平行平板電極系においてクラフト紙(KP)がバットギャップ(BG)側にある場合は、正極性印加の方が負極性印加よりもインパルス絶縁破壊の強さ(Imp-Fb)が高いが、PPがBG側にある場合のImp-Fbは極性による差が小さく、その値はKPがBG側にある場合のそれの間に存在することが明らかとなった。これらのデータは、Process:(1)KP中は正電荷よりも負電荷の方が侵入し易く、実効厚さの低下をもたらす、Process:(2)PP中へは電荷は侵入せず、PPは正よりも負ストリーマに対して弱いと仮定すると説明できた。Fbの低下をもたらす上記(1)および(2)の条件が揃っている構成のImp-Fbが最も低くなり、その両条件に当てはまらない構成のImp-Fbが最も高くなると考えられた。
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