研究概要 |
自動車用や家電用・産業用のモータ・アクチュエータのように、可動部分を含む機器の設計では、現状では人間が形状を与えて磁石、鉄、巻線の配線や寸法を決めている。このようなやり方を行っている限りは従来と比べて飛躍的に小形・高効率な機器を開発することは出来ない。磁性体の配置を計算機に自動的に決めさせることにすれば、人間の主観は全く入らず自由な発想で磁気回路が設計できることに着目し、かつモータのように可動部分を有する磁気回路の取り扱いを可能にすることにより、人間が今まで予想していなかった(サプライズな)形状・トポロジーを求めることが出来る設計手法(スキーム)を考案することを目的として研究を行った。本年度の成果を要約すると,以下のようになる。 (1) 移動する磁性体の感度の高速計算法の考案 最適解法の検討を求めるためには、かなりの反復計算を要するので、A法を用いた、高速求解法の検討を行った。 (2) 可動部分を有する場合の感度を用いた最適化法の開発 永久磁石モータに特化したサプライズ設計スキームを構築した。高効率化・高性能化を計るために,トルクリプル最小とトルク最大を両立させるための目的関数の選定法や初期値の影響の検討を行った。研究成果を平成22年5月の国際会議で発表する予定である。 (3) 高磁束密度での磁気特性の測定 磁気回路の磁性体としては、いわゆる鉄鋼メーカの電磁鋼板だけでなく、炭素鋼などが用いられることが多い。これらの材料は磁性材料として作られている訳ではないので、磁気特性は自分で測定する必要がある。特に高磁束密度では飽和して力率が低くなるために、測定精度が悪くなるという問題がある。そこで、既設の大型電磁石の測定治具を改良して、高磁束密度までの磁気特性を測定する方法を開発した。
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