研究概要 |
本研究では,Nd-Fe-B/(Nd,Dy)-Fe-Bコンポジット磁石を作製することにより,(Nd,Dy)-Fe-B合金磁石に比べて,低Dy含有量で優れた耐熱性を有する磁石の開発を目指している。平成20年度の研究では,まず,混合比を変化させたNd_2Fe_<14>B/(Nd_<0.7>Dy_<0.3>)_2Fe_<14>Bコンポジット磁石及び同量のDyを含有する(Nd_<1-x>Dy_x)_2Fe_<14>B合金磁石の磁気特性を,マイクロマグネティクス理論に基づく計算機シミュレーションにより解析した。解析結果より,異方性磁石の場合には,合金磁石の磁気特性が同Dy含有量のコンポジット磁石の特性を上回り,コンポジット化による特性改善は期待できないことが明らかになった。一方,等方性磁石においては,Nd-Fe-B結晶粒と(Nd,Dy)-Fe-B結晶粒の間でDyの拡散を起こすことにより,コンポジット化による特性改善が期待できることを見出した。 このシミュレーション結果を確認するために,非晶質Nd-Fe-B急冷粉末及び(Nd,Dy)-Fe-B急冷粉末を作製し,混合・圧縮成形の後,熱処理によりDyの拡散を促した。その結果,コンポジット磁石において,同Dy含有の合金磁石の特性を上回る高磁気特性を得ることができた。 以上の結果は,等方性(Nd,Dy)-Fe-B磁石においては,コンポジット化により低Dy含有量で高い耐熱性を有する磁石を作製可能であることを示唆している。
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