研究課題
嗅覚の粘膜構造を意識した湿潤型の感応部構造を構築することで、環境医学を志向した生化学式ガスセンサを開発した。デバイスの開発では、ポリジメチルシロキサンのモールディングにて多数のマイクロピラー構造を配列した微細構造を開発し、湿潤型のセンサ感応部を構築し、酸素センサ等に応用した。また、ガス成分での光学計測法として、アルコール脱水素酵素を固定化した感応膜に酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を含むリン酸緩衝液を供給することで湿潤させ、基質成分であるアルコールを認識することで生成された還元型のNADHを蛍光にて計測する手法を確立した。実験では、2分岐型の光ファイバの一方に中心波長335nmの紫外線LED光源を、もう一方に分光器を接続し、励起光をプローブに導入、プローブ近傍で発生したNADHの蛍光を同軸にて計測するシステムを構築した。本システムにアルコールガスを負荷したところ、上記感応膜におけるNADHの産生を示す491nmの蛍光が観察され、ヒトの嗅覚を上回る感度にて(定量範囲:0.3-300ppm)でアルコールガスの定量が可能で、高いガス選択性を有するNADH蛍光検出型生化学式ガスセンサの性能が確認された。開発した手法は卓上型のコンパクトなシステムにて、多様なガスを非常に高い感度、選択性で簡便に連続計測が可能な点が特徴である。この手法では酵素の種類を変更するだけで、ホルムアルデヒドなど多様なガス成分に応用展開可能であり、将来的には健康的な生活環境を構築するための環境マネジメント等への応用が期待される。
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