研究課題/領域番号 |
20656074
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 武 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026330)
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研究分担者 |
宇都宮 智昭 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10211773)
小林 俊一 京都大学, 工学研究科, 助教 (10243065)
吉川 仁 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (90359836)
西藤 潤 京都大学, 工学研究科, 助教 (40456801)
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キーワード | 不安定構造 / つりあい形状 / 探索方法 / モード / ポテンシャル / トラス / カテナリー / 仮想仕事の原理 |
研究概要 |
構造力学では、静定構造およびその応用として不静定構造が扱われる。解法として部材力を未知数とする応力法、節点変位を未知数にする変位法がある。これらに関する理論はすでに完成しており、計算機があれば大規模構造でも容易に解くことができる。たとえば変位法を用いるなら、弾性等の材料物性を仮定して、変位で表したつりあい式を解けばよい。しかし、不安定トラスは任意の荷重に対し、つりあい状態を保持しない。不安定構造に対する理論は静定構造や不静定構造の理論とは少し異なる。従来の応力法や変位法をそのまま適用できない。不安定構造の特徴は、たとえ、部材の物性を完全な剛体と仮定したとしても、荷重が作用すれば大きな変位が生じることである。大きく変位しても、各(剛体)部材の伸びや収縮はまったく生じていない。したがって、このつりあいの位置は部材の物性に依存しない。一般に、不安定構造に荷重が作用すると大きく変位したのち、ある形状で力学的に安定する。つまり与えられた外力に対し、安定したつりあい点が存在する。その不安定構造のつりあい形状を求めるためのより容易な方法を確立し、さらに、不安定構造の理論の有効な活用を図ることが本研究の主たる目的である。本年度は、この研究の理論的基礎を確立した。すなわち、不安定構造のつりあい形状の探索とは、自重によるポテンシャル最小問題として数学上の1つの最小化問題として扱えることを明らかにした。また、不安定トラスを取り上げ、具体的な例題の計算を通してそれが正しいことを確認した。この種の問題は新しく、多くの興味ある課題が残っている。たとえば、「解の多価性」については次年度以降に考察する予定である。
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