水処理各方面で様々な種類の分離膜が導入され始めているが、未だに主流技術とはなりえていない。その主な原因は膜ファウリングに伴う運転コストの増加および溶解性低分子量成分の除去性である。本研究は、ナノスケールでの規則的かつ立体的な構造制御が可能となっているカーボンナノファイバーを分離膜表面に固定することで、従来は考えられなかった新機能を有する分離膜創生を行い、上述した問題の解決を目指すものである。21年度は、平膜状アルミナ多孔体上にカーボンナノファイバーを固定化する条件の最適化を検討し、以下の条件を確立した。平膜状アルミナ多孔体(WhatmanアルミナフィルターAnodisc 25)を0.3M硝酸ニッケルのエタノール溶液に浸し、超音波バス中で10分間超音波処理を行った。そめ後、硝酸ニッケル溶液から平板状アルミナ多孔体を取り出し、この硝酸ニッケル溶液の染み込んだ平板状アルミナ多孔体を300度に加熱している焼成炉に1時間入れ、アルミナ多孔体中の硝酸ニッケルを酸化ニッケルに変換した。その後、この酸化ニッケルを担持した平板状アルミナ多孔体をメタンガス流通下(毎分20ml)、550度で2時間反応させることにより、カーボンナノファイバーを生成させた。この方法により平板状アルミナ多孔体上全てにカーボンナノファイバーを生成させることが出来ることが確認できた
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