研究概要 |
本研究では、高蓄積性、発ガン性、残留性、難分解性の特徴を有する人工有機フッ素化合物類の排出源を科学的に追跡する調査、実験、解析手法を開発することを主目的としている。本年度は、琵琶湖淀川流域の主要河川、下水処理場放流水、フッ素化学工場廃水、水道水を対象に、PFOS、PFOAを含む残留性有機フッ素化合物の構成比を詳細調査し、各種構成比と下流水域中での構成比を比較検討し、その関連性を議論した。具体的には、(1)水質水量調査、(2)PFCs分析を実施し、排出源を科学的に追跡するための検証データを収集した。PFCsの測定ではGF-Bにてろ過後、溶存態と懸濁態に分離して測定を行った。加えて、関連因子として、水温,pH,DO,濁度,ORP,電気伝導度,溶存有機物濃度,懸濁有機物質濃度を測定した。また、PFCs汚染が懸念されるイギリスのテムズ河において水質調査を実施し、特にPFOS汚染が顕著であり世界的にも高レベルに汚染されていることを明らかにした。本調査はイギリスのCentre for Ecology & HydrologyのAndrew Johnson博士、Monika Jurgens氏と共同して進めており、水量データの採取を含めた詳細調査の実施を予定している。(3)PFOS・PFOA分岐異性体の分離分析については、現在、PFOSについて3つのピークに分離することが可能となった。来年度はさらに分離能を高めることでPFOAを含めた分岐異性体の検出を行い、本手法を現地サンプルに適応することで、排出源を科学的に追跡する調査、実験、解析手法を開発する予定である。
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