研究課題/領域番号 |
20656087
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
梅村 靖弘 日本大学, 理工学部, 教授 (70246825)
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研究分担者 |
露木 尚光 日本大学, 理工学部, 教授 (20059611)
小泉 公志郎 日本大学, 理工学部, 講師 (10312042)
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キーワード | セメント / セメント水和物 / 結晶 / 中性子 / X線 / リートベルト解析 |
研究概要 |
セメントは水和反応により水酸化カルシウムやC-S-H系結晶を生成することが知られているが、セメント鉱物や生成するC-S-H系結晶は非晶質を含んでおり、その結晶構造の解明において粉末X線回折手法では限界がある。そこで、本研究は、軽元素の構造決定に有効な高分解能粉末中性子回折装置(HRPD)を用いて、セメント鉱物の結晶構造の解明を行う場合の基礎データの収集を目的とした。今回、使用した試料は、比表面積10000cm2/g程度に乾湿粉砕したポルトランドセメントにCa系混和材を混和したものである。予備実験において、Bragg回折ピークが明瞭であったこと、含水による水素原子からの非干渉性散乱が寄与しバックグラウンドが高いことから、第一モノクロメータを12'、測定波長を1.8234(A)、2θ/°範囲を5~150°、検出器移動ステップ角を0.05°、測定時間を1700min、ビーム出射口Cd Slitを15x45mmとして測定した。粉末中性子回折により得られた観測強度データを用いて解析ソフトRietan2000によりリートベルト解析を行った。今回の解析では、観測強度が小さいため各相を単相とみなし解析を実施した。リートベルト解析に用いた各相はC_3S、C_2S、C_3A、C_4AFである。その結果、リートベルト解析において、観測強度データ結晶構造パラメータから導き出した計算値との整合性を示すS(=Rwp/Re)値がほぼ"1"となり、今回設定モデルの精密化が真値に近いことが分かった。また、同定について以下の留意が必要であることが分かった。(1)リートベルト解析は相同定ツールであることから定量値の標準誤差は若干大きいと考えられるが、特にBragg回折強度が弱い場合は、統計誤差が大きくなる。(2)観測強度データのバックグラウンドが2000count一定であったためBragg回折ピークがバックグラウンドに埋もれ、S/N比が低下した。これはセメントの水吸着(湿気)による散漫散乱の影響と考えられる。
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