熱供給事業者が供給先の建物内の二次側設備までの運用を担うとともに、熱供給量ではなく室内環境(室内気温など)を保証する形で契約をおこない、熱供給事業者が省エネルギー運用のインセンティブを持つような、エネルギーサービスの新しい形態である「熱環境保証型熱エネルギーサービス事業」の可能性を探ることを目的とし、建物側と地域冷暖房側双方のエネルギーシミュレーションモデルを構築し、それを連携してシミュレーションすることにより、建物側の冷水温度差確保、室温制御の徹底が地域冷暖房システム全体においてどの程度の省エネルギー効果を生じるかについて、定量的に明らかにした。また、そのコストメリットについても計算を行った。併せて、このようなエネルギーサービスを行う建物が地域冷暖房システム全体に占める割合の変化や、ヒートアイランド等による外気温の上昇がシステム全体のエネルギー効率に与える影響を明らかにした。 また、本研究と同様なエネルギーサービス事業(クライメート・アグリーメント)を実施しているスウェーデンのイエテボリエネルギー公社を訪問し、現在のエネルギーサービス事業の進展状況、同サービスにおける技術的課題、省エネルギー性保証のための具体的対策、同サービスを含めた地域暖房事業全般にわたる今後の展望について、ヒアリングおよび現地調査を行い、次年度以降のシミュレーションプログラムの改良・モデルの設定条件調整に向けて多大な知見を得た。
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