研究概要 |
H20年度 航空機内の独特の環境である「低圧・低酸素」および「低湿度」が、いわゆるエコノミークラス症候群の発症にどのような影響をもたらすかを、高精度の人工気候室内での長時間安静椅座実験により、皮膚血流、血圧、「むくみ」や血液粘度等の生理反応を測定して明かにし、さらに空気調和による対策法を提案することを目的した。これにより、飛行機の特殊環境の影響を因子別に分離しての評価が可能となり、さらに低圧・低酸素と低湿度の相乗効果があるか否かを明らかにする。 高精度(高度10、000mまで、相対湿度,精度±2%,範囲10〜90%)の人工気候室2室(No.1,No.2)を使用し被験者実験を行った。青年男子10名を被験者とした。被験者は、予め心電図、血圧、血液性状、尿検査、問診によるメディカルチェックを受け、人工気候室No.2(25℃、50%)に30分間以上滞在後に、以下の4条件のいずれかに設定した人工気候室No.1に移動する。被験者は標準服(0.6clo)を着用する。A:常圧、室温21℃、相対湿度60%、B:常圧、室温21℃、相対湿度10%、C:高度2000m相当低圧、室温21℃、相対湿度60%D:高度2000m相当低圧、室温21℃、相対湿度10% 各環境条件下で、2時間の椅座安静前後に、下肢から採血し(有資格者が補助する)分析(血液粘度、ヘマトクリット、総血漿タンパク濃度、血中尿素窒素、赤血球沈降率等)した。さらに、1g精度の精密体重計により、尿量と体重減少量を測定した。実験中、皮膚血流量、皮膚温を連続測定し、適時に血圧、動脈血酸素飽和度、下肢のむくみを測定し現在解析中である。
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