研究概要 |
本研究では、病棟患者の生命に対する脅威の性格が対極的な災害として、火災及び大地震を対象としている。火災については、平成20年度に技術的可能性の解明に必要な基本的な検討を終えており、平成21年度は、従来、研究例の少ない地震時及び地震後の医療継続・生命維持について、実態調査と計画の基本的方向性を検討した。調査は、大地震の経験のある新潟県、大阪府、兵庫県及び被災経験はないが、地震に強い関心のある千葉県、静岡県の神経内科を有する200床以上の病院34施設を対象とした。調査は、各病院へのアンケート及び看護師長・病院管理者に対するヒアリング・実態調査より成る。 1)病棟・病室における震災後の生命維持に必要な条件の把握 生命維持については、調査先病院が保有する人工呼吸器等の生命維持機器の性能、寸法・重量、バッテリーの重量・使用可能時間、現状の搬送方法等を調査し、震災後の機能維持の方法については、看護師、医師等の意見をヒアリング調査した。 2)病棟・病室における震災後の生活維持に必要な条件の把握 病棟・病室の日常生活に必要なエネルギー等を調査のうえ、震災後のエネルギー等、ライフラインの利用可能性と復旧過程を踏まえ、患者の生活維持に必要な施設・設備機器の必要量・管理体制を分析した。 3)地震後の病棟・病室の生命・生活維持計画指針の誘導 2),3)の調査・分析から、施設の計画、生命維持機器の性能及び病棟・病室における震災後の生命・生活維持計画指針をとりまとめた。 以上を踏まえ、平成21年度に実施した火災対策を含む報告書をとりまとめた。
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