本研究では、非水溶媒からのアルミニウム電析法と双方向非対称パルス電解法を組み合わせ、Al-Ti合金をボトムアップ的に作製する新しい方法の開発を目指す。すなわち、まず、非水溶媒を用いる新しいAl電析法により、Al薄膜もしくは微細構造を作製し、そのAlを双方向非対称パルス電解法により、Al-Ti合金化することを試みる。本年度は、電解浴としてAlの電析・溶解が可逆的に起こるジメチルスルホン浴を用いて、Al-Ti合金電析を試みた。ジメチルスルホン浴中へTiCl2あるいはTiCl4の溶解を試みたが、ごく少量しか溶解しなかった。この浴を用いて、双方向非対称パルス電解法により、Al-Ti合金化することを試みたが、Al-Ti合金の生成は認められなかった。これと平行して、Al電析を利用してTi表面をAl-Ti合金化することを試みた。その結果、ジメチルスルホン浴でチタン基板にアルミニウムを電析する際には、チタンの表面を80℃の10%のシュウ酸で表面処理することにより密着性の良いAl電析物が得られることが明らかとなった。また、Ti板表面に電析によりAl層を形成した後、温度700〜800℃で1時間程度加熱することにより、Ti表面にAlTiおよびAl3Ti相が形成されることを見いだした。これらの知見は平成22年9月に開催される日本金属学会で発表する。
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