申請者は水素分離型の非平衡型燃料改質をめざし、この反応技術の鍵となる水素分離膜に関して新技術を見出した。本研究はその水素分離膜の開発・性能実証を行うことを目的とした。申請者が提案した逆ビルドアップ法による、1μmオーダーのパラジウム合金薄膜と多孔質金属支持体とを複合化した金属製複合水素分離膜の実用開発を目指した。既に試作に成功したが、試作品ごとに性能が一定でない。そこで逆ビルドアップ法による複合水素分離膜の開発研究をさらに進め、実用的な安定した製膜法を確立することを目的とした。提案する逆ビルドアップ法による新規複合水素分離膜の作成条件の最適化を進め、得られた膜の水素分離試験を行なった。製法は(1)基材上への下塗り層塗布工程、(2)パラジウム合金薄膜層スパッタ製膜工程、(3)支持メッキ層作成工程、(4)基材からの生成複合膜の剥離の4工程からなる。これらの操作の最適化を進めた。とくに、工程(2)および、工程(3)が安定した膜の作成に重要であった。工程(2)ではスパッタの電圧、電流値、スパッタ時間の最適化を検討し、安定した合金薄膜形成の条件を得た。工程(3)では従来はメッキ層が膜面の場所により不均一となり、膜の断裂破壊、ピンホールが発生し、安定した成膜が困難であった。そこで、メッキ用の治具を改良した、膜全面に極力均一に電流が流れるよう、電気接点の多点化をめざし、これにともなう、メッキ治具の大幅な改良を起こった。開発した治具により均一なメッキが可能となった。 この手法によりピンホールフリーの水素分離膜の歩留まりを大幅に向上することに成功した。
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