研究概要 |
本申請研究は,温度・圧力を制御因子とした超音波化学・物理作用の制御と効率化の可能性,および超音波局所高温・高圧反応場と温度・庄力制御に基づく水バルク高温・高圧水を組み合わせた新規協奏反応場の創製の可能性について検討することを目的とする。 初年度のH21年度は,高温高圧操作型ソノリアクターの設計・開発を行った。その結果,処理対象溶液の流量(空間速度)一定のもと,温度は常温〜150℃,圧力は常圧〜10MPaの範囲で操作可能な高圧・高温操作型ソノリアクターが完成した。電圧一定の下,振動子のインピータンスが極小値をとる周波数条件で音波を発振した場合に照射対象の溶液媒体へ音波エネルギーが効率的に投入されると推測されるため,開発した本装置に対して,周波数に対する振動子のインピータンス特性の温度,圧力依存性を調べた。なお,照射媒体として蒸留水を使用した。最初に,ソノリアクターの通常操作条件である常温,常圧下で20-23.5kHzの範囲でスイープさせながら周波数に対するインピータンス特性を調べた結果,20-21kHzの領域Aと22.5-23kHz領域Bにインピーダンスの極小値が存在した。さらに,温度を常温〜120℃,圧力を常圧〜10MPaの範囲で変化させて周波数に対するインピータンス特性を調べた結果,特に領域Aでは,圧力,温度条件に応じて極小値をとる周波数が複数存在するようになり,またインピータンスの極小値の大きさも変化することがわかった。次に常温,常圧条件ではあるが,電圧一定の条件の下,領域Aおよび領域Bでインピータンスが極小値をとる周波数の超音波をKI水溶液に照射したところ,超音波化学作用によるKI酸化反応速度に関して,領域Aの周波数条件の方が高い値を示した。以上の結果に基づいて今後は,超音波の化学作用,または超音波の物理作用に対する温度,圧力の影響について検討していく予定である。
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