エネルギー資源に乏しい日本では、その所有する広大な経済水域を用いて、海洋エネルギー資源利用を推進することが望ましいばかりでなく、現在の地球的な問題となっている地球温暖化対策としても重要である。本提案の強風域までの洋上風力エネルギー資源を活用するには、日本の産業の特性を考えた対応が必要で、将来にわたり運用できるシステムでなければならない。海洋の強風域での発電には、潜在的なエネルギー資源の大きさから大きな可能性があると考えられるが、未だに利用されていない。これは、通常の風車を用いる発電システムでは、台風クラスの強風にはとうてい太刀打ちできないことが、陸上の多くの風力発電システムの事故例からも明白であるからであろう。ここでは未利用であったぐ台風の強風域までの強風エネルギーの利用を考えた、硬帆を装備したメガヨットを用いた強風発電船構想の基本的な考え方、およびその基礎的な模型実験の結果を示す事が出来た。これは地球温暖化により、洋上の海水表面温度の上昇が引き起こすと考えられる、台風の大型化やその個数の増加について対応すべき物と考えており、地球上にすでに蓄積された膨大な蓄熱エネルギーを一部でも取り込むことまでを考えたシステムである。その強風発電のための理論解析には、20万トンのメガヨットを想定し、その帆走性能を満たす帆面積の最適値があることを数値解析により示した。また全抵抗中の推進抵抗と、発電に要する水中プロペラ部の抵抗の最適地があることも導いた。また小型模型を制作して行った水槽試験では、小型模型に搭載する超軽量小型省エネのサーボ制御装置および記録装置を開発、模型に搭載して外部より風を与え自走試験を行った。また模型には様々な方向より風を与え、模型を推進させ、船底部に取り付けたプロペラ部と接合された発電装置を作動させ、発電が可能となることを示すことが出来た。
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