前年に引き続き花粉干渉の普遍性について検証した。これまでの研究で、在来のカンサイタンポポに対して外来のセイヨウタンポポの花粉が干渉し、結実率を低下させることはすでに分かっていた。これにより、なぜ近畿地方においてセイヨウタンポポがカンサイタンポポを急速に駆逐するかは明らかとなった。しかし、同じく在来のトウカイタンポポは、滋賀県中部以東から東海地方にかけて広く分布し、市街地においても外来のセイヨウタンポポをむしろ圧倒している。この理由について、セイヨウタンポポの花粉はトウカイタンポポに花粉干渉しないという仮説を立てて検証した。まず、野外調査によりセイヨウタンポポが近くに存在するとトウカイタンポポの結実率が低下するかどうかについて調べた。その結果、セイヨウタンポポがごく近傍に存在しても、トウカイタンポポの結実率の低下は起らないことが明らかとなった。さらに人工授粉実験により、その因果関係を調べた。その結果、予測通りセイヨウタンポポの花粉は在来のトウカイタンポポの結実率にはほとんど影響しないことが明らかとなった。以上の結果は、外来タンポポによる在来タンポポの結実率の低下は、花粉干渉によって引き起こされるが、花粉制限によってはほとんど引き起こされていないことを示し、花粉干渉の重要性をさらに確認する結果となった。エゾタンポポについては、遠隔地の調査であり分布状況のデータを得たにとどまった。ホトケノザとヒメオドリコソウ間では、花粉の干渉は結実率に影響しておらす、ホトケノザが自家受粉でも結実することが明らかとなった。
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