前年に引き続き、配偶干渉の普遍性を検証した。セイヨウタンポポの花粉が在来のカンサイタンポポに対して干渉し、結実率を低下させることはすでに分かっていたが、在来のトウカイタンポポの結実率にはほとんど影響しないことが明らかとなった。エゾタンポポについては、遠隔地の調査であり分布状況のデータを得たにとどまった。ホトケノザとヒメオドリコソウ間では、花粉の干渉は結実率に影響しておらす、ホトケノザが自家受粉でも結実することが明らかとなった。センダングサ類(センダングサ、アメリカセンダイグサ、コセンダングサ)では、予想通り在来のセンダングサが外来の2種から負の花粉干渉を受けることが明らかになった。しかし同時に、従来コセンダングサとして扱われてきた種の中に、比較的大きな白い花弁を持つ型がさまざまな程度に混在することが明らかになった。これはおそらく、シロバナセンダングサからの浸透交雑の影響と推察される。さらに、2つの系、イヌノフグリとオオイヌノフグリ、およびゲンノショウコとミツバフウロの間に花粉干渉が存在することが明らかとなった。以上の結果から、ホトケノザとヒメオドリコソウの系を除くすべての系で、花粉干渉に強い種と弱い種があることが分かった。カンサイタンポポとセイヨウタンポポの種間競争については、資源競争と繁殖干渉の両方を組み込んだ、2次元格子モデルを作成した。その結果、花粉干渉は、競争排除の速度を著しく早めることが分かり、野外における両種の急激な置き換わりをうまく説明できた。
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