研究課題
萌芽研究
現在、国立科学博物館動物研究部が中心となってストコンディングネットワークが始動しており、多くの座礁事例に迅速に対応できるようになってきている。座礁個体は時間とともにその試料としての価値が減衰し、得られる情報が限られてくる。今回申請した題目が採用されれば、積極的に迅速に対応でき、病理所見を始め、多くの生物学的情報を収集すると共に、MHC解析を中心としたDNA解析用の組織試料、特にウイルス検出用として鼻腔内スワブ(拭い液)、リンパ組織や肺、脳組織の試料を収集する。この際、多くのウイルスがRNAウイルスであることを考慮し、RNA抽出組織用の試料保存液(RNA later)を使用する。今年度は(1)混獲ネズミイルカのDNA分析用サンプル採取:北海道函館市臼尻20年4月23日〜24日、(2)座礁スナメリのDNA分析用サンプル採取:長崎県大村湾20年4月25日、(3)漂着鯨類のDNA分析用サンプル採取:北海道苫小牧市有明町20年7月18日〜19日、(4)イシイルカのDNA試料採取:北海道石狩市石狩新港20年6月27日〜28日、(5)ゴンドウクジラのDNA試料採取:熊本県苓北町20年12月13日(6)ネズミイルカのDNA試料採取:北海道目梨郡羅臼町峯浜町20年12月13日〜15日をおこなった。ヘルペスやパポーバといったウイルスは潜伏感染することが知られ、また多くの種を宿主としている。このようなウイルスはホストーパラサイト問の共進化により宿種特異的に進化する可能性があるといわれている。申請者はすでに日本近海に座礁した鯨類からアルファとベータの2つのヘルペス亜科から4つの新たなウイルスを検出した。鯨類ヘルペスはそれぞれがまとまる傾向にあり、種群特異的な進化の傾向がみられる。2008年宮崎県青島で座礁したハナゴンドウからもヘルペスウイルスを検出したが、それは大西洋のハナゴンドウにおいてすでに報告されていたものであった。この個体にはペニスに腫瘍があり、宮崎大学農学部水産学教室との共同研究により、組織学的にもウイルス封入体が確認された。
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http://www.scs.kyushu-u.ac.jp/~koikegsc/top-J.html