研究課題
萌芽研究
ミジンコは通常単為生殖により増殖するが、個体密度が上昇するとオスを産み、有性生殖へと生殖戦略を転換する。これは、個体密度を感知し生殖戦略を変更する何らかのシステムが存在していることを示唆している。個体密度を感知するシステムについては、微生物学において急速に研究が進み、クオラムセンシングと呼ばれている。いくつかの状況証拠から、無脊椎動物であるミジンコにおいても、微生物と類似のシステムを利用している可能性が出てきた。そこで本研究では、ミジンコにおけるクオラムセンシングの存在を明らかにし、実態を担う分子を同定することを目的とする。このためにミジンコを通常の状態から個体密度を上げた状態に移し飼育すると、単為生殖から有性生殖に切り替わる特性を利用する。ミジンコはこの生殖戦略の切り替わりに際して、何らかのオートインデューサーを放出していると考えられる。このオートインデューサーの実体を明らかにするために、ミジンコの飼育水からオス産生誘導因子の精製をすすめている。現在までの解析から、このオートインデューサーは、可溶性でフィルターを透過すること、比較的水中で安定であることなどが示され、カラムクロマトグラフィーによる精製が可能であることが明らかになってきた。種々のイオン交換クロマトグラフィーを用いた部分精製とその解析から、このオートインデューサーは中世領域で負の電荷をもっていることが示唆された。今後は、このオートインデューサーの物理化学的な特性を利用して今後さらに精製を進める予定である。
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