植物は密植されると小さく育ち」、逆に、広い場所に1本だけ植えれば大きく育つ。この現象の説明として、密植すると個体間で養分の競合が起こる、あるいは光がさえぎられる、のどが挙げられるが、これらの説明に確固とした科学的裏付けがあるわけではない。 本申請で提案する研究は、密植された植物を観察しているうちに、密植条件下で成長が抑制される現象が養分や光に対する競合だけでは説明できないと気がついてことに端を発する。そこで、植物は何らかの個体間コミュニュケーションの方法を備えており、それを用いて自分が置かれた環境の混雑具合を感知し、その情報に基づき成長過程を制御しているのではないかと考え、予備的解析を開始した。本申請では、その解析を発展させ、密植を感受する個体間コミュニュケーションの可能性を探ると同時に、密植情報の感受や伝達に関わるメカニズムを追求することを研究の目的とする。 これまでに、密植条件で特異的に発現が上昇する遺伝子ALPを同定しており、本年度はAPLを過剰発現するイネを作出した。また、これとは別に、腋芽の伸長を制御する新規ホルモン、ストリゴラクトンに関する解析を進め、ストリゴラクトンを与えるとイネの腋芽伸長が抑制されることを示した。
|