植物は密植されると小さく育ち、逆に、広い場所に1本だけ植えれば大きく育つ。この現象の説明として、密植すると個体間で養分の競合が起こる、あるいは光がさえぎられる、などが挙げられるが、これらの説明に確固とした科学的裏付けがあるわけではない。そこで、植物は何らかの個体間コミュニュケーションの方法を備えており、それを用いて自分が置かれた環境の混雑具合を感知し、その情報に基づき成長程度を制御しているのではないかと考え、予備的解析を開始した。 今年度は、腋芽の伸長を制御する新規ホルモンであるストリゴラクトンに関する解析を進めた。特に、分げつが過剰に成長する2つの変異体d14、fc1を解析した。これらの異常はストリゴラクトンにより相補されず、また、変異体でもストリゴラクトンは合成されていた。D14はαβ水酸化酵素スーパーファミリーに属するタンパク質をコードしており、ストリゴラクトンの受容体である可能性が示唆された。FC1遺伝子は2003年にすでに報告されている。本研究では、FC1がストリゴラクトンの下流で働くことを明らかにした。
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