研究概要 |
本年度は,根においてミトコンドリアの形態が変化したシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)変異体を取得すべく,蛍光顕微鏡観察による目視スクリーニングを開始した.シロイヌナズナ新規突然変異体取得の出発材料(M_0植物)として,CaMV35S(cauliflower mosaic virus35S)プロモーター制御下でミトコンドリア移行型YFP(シロイヌナズナのミトコンドリア局在型シャペロニンHSP60のプレシークエンス[ミトコンドリア移行シグナル配列]をYFP[yellow fluorescent protein]のアミノ末端に接続した融合蛋白質.以下,mtYFPと呼ぶ)を構成的に強発現する系統(Fujiwara,Itoh et al.,投稿準備中)を用いた,この系統の種子(M_0種子)に対して,エチルメタンスルホン酸(EMS)による突然変異誘発処理を施した.変異誘発第2世代の種子(M_2種子)について,Murashige-Skoog(MS)寒天培地上に無菌的に播種し,発芽後10日目前後の植物体から根の一部を切り取り,mtYFPの蛍光顕微鏡観察をおこなうことにより,ミトコンドリアの細胞内運動・細胞内分布・形態の様子が,同時期の親株(変異誘発処理前の親系統)と異なるM_2個体をスクリーニングしている.これまでにおよそ1,000個体の観察を完了しており,現在もスクリーニング作業を継続中である.
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