研究概要 |
現在作成している温度センサーは37℃付近の温度変化を感知できるが、細胞内の微小な温度変化を検出するにおいて、励起イメージング(ratio380/480)の変化量の不十分さが問題点として挙げられた。そこで、感度向上を目指してcircular permutation法(Tsien et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1999)を採用し、新たな温度センサーを構築した。この方法ではGFPのN末端及びC末端をβシート構造近傍に移動することで、構造変化が蛍光変化としてより反映されやすい方法論になっている。In vitroで機能評価を行ったところ、蛍光変化の向上が確認でき、coiled-coilによる構造的な歪みがより強くなったためだと考えられる。 また、本年度は、nativeの細胞を用いて温度産生の有無について評価した。褐色脂肪細胞は、交感神経線維の支配を受け、β3受容体の活性化を介してミトコンドリア内の脱共役タンパク(UCP)を活性化し、熱産生を行うことが知られる。そこで、ラットから単離した褐色脂肪細胞の温度変化を測定した。そのためには、褐色脂肪細胞への遺伝子導入系の確立が必要であるため、センサータンパク質の遺伝子をコードするアデノウィルスの構築を行い、作製したアデノウィルスを用いて、褐色脂肪細胞内におけるセンサータンパク質の発現を確認した。褐色脂肪細胞内における温度センサー機能に関しては、細胞外液の温度を変えることで評価した。また、脱共役剤として知られるCCCPおよびβ受容体のアゴニストであるノルエピネフリン刺激によって、褐色脂肪細胞の蛍光変化を評価した。
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