1.EA4の機能測定法の改良 従来のEA4機能測定は、時間読み開始後一定時間間隔内のATP水解反応で生じる無機リン酸をマラカイトグリーン法で呈色、定量する操作を繰り返す方法を基礎としていた。この方法の最大の欠点は、1点の測定に比較的大量の試料(30-40ng)と長い呈色待ち時間(1時間)を要することである。本研究では、以下の二つの改良を施した。 (1)ATP水解反応で生じるADP(およびAMP)を、酸化チタンカラムを用いた高速液体クロマトグラフィーで分離定量する新しい方法を取り入れた。この方法を使うことにより、1点当たりの測定時間を約30分の1、必要試料量を約40分の1に抑えることができた。 (2)最近我々は、EA4がATPの水解反応のみならずp-ニトロフェノールリン酸(無色)の脱リン酸化反応を触媒することを見つけた。本研究では、この脱リン酸化反応で生成するp-ニトロフェノール(黄色)の量を分光光度計で連続的に計測する系を立ち上げ、EA4の機能測定に利用した。 2.EA4・PIN複合体のX線結晶構造解析 本年度の研究では、バキュロウイルス発現EA4と38残基のペプチドPINの複合体の結晶化スクリーニングを集中的に行い、空間群の異なる2種類の結晶を得ることに成功した。しかし、肝心のPINの電子密度はいずれの結晶構造でも確認できなかった。EA4に対するPINの親和性がそれほど高くないことと、PIN単体の沈殿傾向が強いことが、複合体の結晶化を難しくしているようである。現在、38残基PINに代わる新規ペプチドの探索を行っている。
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