研究概要 |
我々はこれまで全反射光学系を利用して多点蛍光相関分光装置を開発し細胞膜表面におけるタンパク質の動態を1分子レベルで検出し, タンパク質の拡散速度からタンパク質相互作用を解析を進めてきた。これまで細胞局所における生体膜の流動性の違いや, 膜タンパク質の拡散などを明らかにし, 生体膜表面に置けるタンパク質の動態解析に非常に有効であることを示してきた。この装置は単1細胞表面の7点同時測定であり, 十分ではないが細胞膜内の一定に範囲をカバーすることができ, 擬似的には2次元とみることができる。そこで各測定点のシグナル間の関連性を明らかにすることが可能であるなら, それがタンパク質の活性化と関連していることからシグナル同士の時間遅れから情報の早さを, また関連性の強弱から情報の流れの方向などを明らかにできる可能性があることに着目した。申請者はその方法として, これまで分子間相互作用解析に利用して'きた時間相互相関解析を, 測定点間の空間相互相関解析に利用して解析を行った。 本年は装置に生体膜上の多点での分子間相互作用を検出可能とするために相関装置を増設し、これまでの測定装置と合わせて, 合計8点の測定点を確保した。また検出部分にバンドル化した光ファイバーの設置と検出器の接続を行った。各点からシグナルが同時に測定可能かどうかの検討を行った結果, 十分なシグナル強度が得られたのを確認した。 次年度はそのシグナル間の相互相互作用が見られるかをモデル実験を通して確認する予定である。
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