研究課題
萌芽研究
近年、SPAK/OSR1を制御する分子の変異により遺伝性の高血圧を発症することが明らかになった。これは、細胞の浸透圧応答とイオンバランスの制御がヒトの病態と深く関わることを示す一例である。本研究の結果得られた分子群により説明される浸透圧応答メカニズムはこのような病態の理解と治療に新たな道を拓くものになると期待できる。具体的には、本研究ではショウジョウバエのRNAiスクリーニング系の立ち上げ、脱リン酸化酵素など特殊な注目分子に限定したスモールスケールのスクリーニング、そして全ゲノムの網羅的なスクリーニングへと段階的に進めていき、細胞レベルの浸透圧ストレス応答の受容、情報伝達、応答に関わる分子群を遺伝学的に同定する。S2細胞のRNAiスクリーニングでASK3やSPAK/OSR1の活性制御に関与する分子が明らかになれば、ヒトにおけるホモログを検索し、浸透圧ストレス応答メカニズムがヒトの細胞でも保存されていることを確かめる。本年度は、(1)S2細胞を用いたRNAiスクリーニング系の準備、(2)ターゲットを絞り込んだスモールスケールのスクリーニングを行い、全遺伝子スケールにおけるスクリーニングをのために、ハイスループット化が可能な方法の開発に重要な情報を得るに至った。
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