研究概要 |
脊椎動物胚初期発生過程において最初に現れる左右非対称な器官形成である心臓の捻転過程が、複数の組織レベルでの形態変化の複合によって導かれるものであることを示した。これには新規に開発した、蛍光タイムラプス装置と全胚培養系の複合システムが有用であった。これらの複雑な、しかし分割して捉えることのできる組織変化がPitx2を中心とした左側遺伝子によって制御されている可能性も見出し、さらに各変化の中に独立に起きている現象と相互作用によって作り出されている現象があることも明らかにした(Kidokoro et.al., 2008)。本システムはさらにさまざまな初期発生過程における細胞挙動を追跡するシステムとして応用可能であり、側板中胚葉細胞の頭尾軸方向に関する移動に関する研究などに展開している。 また、このような心臓の左右非対称な形態形成のための組織変化が、細胞レベルで記述できるようにもなった。とくに、組織切片による観察、走査型電子顕微鏡による観察、等により、細胞密度と細胞形態の左右差が形態の左右成形性の原因となっている可能性を見出した。
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