研究概要 |
イネを用いて減数分裂時の組換え頻度に影響する内的・外的要因の解析を行った。減数分裂時の温度の影響を調査したところ、35℃/30℃(昼温/夜温)、30℃/25℃、25℃/20℃では、30℃/25℃で組換え頻度が1割程度高かったものの、ほとんど差は見られず、シロイヌナズナで見られている高温ほど組換え頻度が高まるという傾向はなかった。減数分裂期を含む10日間2Gy/8h/dayでガンマ線緩照射を行ったが、照射による組換え頻度の増加は見られなかった。対合染色体間の塩基配列相同性の組換え頻度に及ぼす影響を見たところ、DNA塩基配列の相同性が99.99%と高いコシヒカリ/アキヒカリに比べ、DNA塩基配列の相同性が97.79%と低いjaponica/indicaの交配組合せでは、組換え価が3分の2程度であった。公開されているコシヒカリ/カサラスの戻し交雑自殖系統群の遺伝子型データか用いて、ゲノム全体の組換え頻度に関与するQTL解析を行い、第2,5、6染色体に効果の大きなQTLを見いだした。日本晴/コシヒカリ//コシヒカリの戻し交雑自殖系統群では第9染色体に効果の大きなQTLを見いだした。 本研究では、多数個体のSNP分析を行うことから、低コストでSNP分析が出来るdot-blot-SNP分析を行うが、多数作成したSNPマーカーの分析条件を効率よく決定するため、塩基配列情報から計算したTm値と分析の最適温度との関係を調べ、計算Tm値-15℃が最適温度であることを見出した。また、競合オリゴヌクレオチドの添加により、対立遺伝子特異的検出ができる分析条件が1.8倍増加することを明らかにした。
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