研究概要 |
刈り取り再生栽培は,収穫作業の省力化を実現し,生産性を飛躍的に増大させる可能性がある栽培法である.近年,環境問題が取り沙汰されており,環境負荷の少ない栽培方法が求められており,野菜に含まれる高濃度硝酸塩が問題となっていることから,刈り取り再生栽培においても植物体の養水分吸収に適合した肥培管理を行うことで,この問題を解決できると考え,NO_3-Nの量的管理法における施肥量が,養水分吸収や生育,収量に及ぼす影響について調査した. 今年度の実験には近年生産・利用が急速に伸びているミズナを供試し,定植後より,次回刈り取りまでの期間中に異なるNO_3-Nを施与し(12.5,17.5,25,37.5me/トレイ),その期間は減水量分の補水のみを行った.刈り取りと同時に培養液を更新し,栽培終了まで5回の刈り取り収穫を行った.いずれの処理区でも初回収穫時を除き,収穫時には培養液中のNO_3-Nはほぼ全量が植物体に吸収された.初期の収穫では処理区間で収量に大きな差はみられなかったが,刈り取り回数が進むにつれ施与したNO_3-N量の少ない二つの区において収量が減少していく傾向がみられ,37.5me区と25me区では施与量が1.5倍違うにも関わらず収量は同等となり,植物体中の硝酸塩量は25me区で37.5me区と比べるとほぼ半減する結果が得られた.この結果は,昨年度行ったレタスとほぼ同じ結果で、作物にかかわらず,必要量以上に養分吸収が行われる贅沢吸収の状態では,生育は促進されず,刈り取り再生栽培においても植物体に必要となる量の養水分の供給によって高品質かつ環境負荷の少ない生産が可能になることが明らかとなった.
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