研究課題
細根生産量を簡易的に測定する方法であるルートメッシュ法を確立するため、既存のイングロースコア法との比較試験をスギ林で実施した。平成20年度に、茨城、滋賀、京都、兵庫、福岡のスギ10林分に設置したルートメッシュ及びイングロースコアの掘り取りを行い、設置二年後の年間細根生産量を算出した。その結果、スギ10林分における平均年間細根生産量は、ルートメッシュ法では25.7±4.4gm^<-2>year^<-1>、イングロースコア法では40.1±10.7gm^<-2>year^<-1>であった。スギ10林分中6林分においてイングロースコア法の推定値が、ルートメッシュ法の推定値よりも大きくなった。一方でルートメッシュ法では、設置後新たに進入した細根本数と年間細根生産量との間に有意な正の相関が認められた。これは細根本数から生産量の推定が可能であることを示唆した。これまでに報告されてきた国内外の細根量と細根生産量のレビューを行い、亜寒帯林、温帯林、熱帯林における細根生産量を推定した。上記で行った両方法とも細根生産量の値は、既存の温帯林における値に比べて過小評価であった。今後、これらの過小評価の原因を明らかにする必要がある。上記で得られた結果について、国内の学会だけでなく欧州の学会でも報告し、特にルートメッシュ法の今後の有用性を議論した。土壌撹乱が少なく簡易的に設置できるという点から、広域評価などを行う際に有用であることを示唆した。さらに他の方法と併用、比較を行うことで、ルートメッシュ法の有用性を確立する必要がある。
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Forest Ecology and Management
巻: 261 ページ: 265-277
巻: 262 ページ: 2008-2023