研究課題/領域番号 |
20658051
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米倉 等 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40312623)
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研究分担者 |
冬木 勝仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (00229105)
川島 滋和 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (80404846)
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キーワード | 畑作地帯 / ジャトロファ / バイオディーゼル / 農業の多様化 / 市場流通機能 |
研究概要 |
本研究の対象となる東南・南アジア地域は、稲作中心の農業生産構造を有し、「緑の革命」と称される米の生産性の飛躍的な向上により、1980年代後半までには多くの国々で米自給が達成された。本研究は、政府主導の稲作中心の農業から、畑作生産を含む農業の多様化を進展させるために必要な市場流通機能の役割を明確にし、それを実証的に補完することを目的としている。 本年度は、世界的なオイルパームの生産地であるマレーシアおよびインドネシアで、バイオ燃料部門での農産物への需要と開発の実態を明らかにするため、バイオディーゼル関連企業の調査を行った。あわせて、ジャワ島の畑作貧困地域および稲作の困難な漁村地域において農業資源の管理という観点から視察調査を行った。 広大なオイルパーム・プランテーションを保有する農園企業や化学工業をベースとし加工処理プラントを保有する企業が参入してパーム原料のディーゼルが生産されている。しかし、インドネシアでは政府方針とりわけ需要独占企業である国営石油会社プルタミナの方針が不安定のためこれらのバイオディーゼル企業はここ1-2年安定した操業ができない。原油市場価格の国際動向に左右される状況が続いて、バイオ燃料産業育成の方針が定まらない。このことは、小農生産主体で考えられてきたジャトロファ由来のバイオディーゼルにいっそう深刻な影響を与えた。遠隔地や畑作地帯での貧困対策手段として期待されたジャトロファも価格の低迷から栽培が普及しておらず、期待外れの状況にある。特定作物に貧困対策の切り札を委ねる事の危険性があらためて指摘された。
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