研究概要 |
1水路網内の移動履歴追跡 個体標識および個体の分布パターンの季節変化など,従来型の方法を用い,調査地区内の魚類の移動パターンを想定した。その結果,特定の支水路が産卵場である可能性が示唆されたため,採集ポイントを定め支水路と幹線水路での採捕を行ない,サンプルを収集した。今年度は炭素・窒素同位体の分析に加えて、筋肉・肝臓の微量元素分析を行った。24元素を定量化し、生息地ごとの分別が可能であるか判別分析を行った。窒素炭素安定同位体では分別できない場合でも、4ないし6元素を用いて判別分析を行うことにより、ほぼ100%の分別が可能となった。元素ごとに挙動特性が異なる傾向が認められ、食性によるものか生息地の水中含有量によるものなのかを明らかにする可能性が示唆された。元素ごとに特性を把握し、普遍的な手法として確立することを目的とすることは、今後の追跡手法に有効であることが認められた。 加えて、水路網につながる、溜池やダム湖内でも地点による違いが検出できるかサンプルを収集した。 2ため池・ダム湖での分別 1同様に、水路網につながる、溜池やダム湖内でも生息地点による違いが検出できるかサンプルを収集した。この結果、同位体によって分別できない場合においても、90%以上の分別が可能になり、なおかつその要因が推定できる結果となった。
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