研究概要 |
本研究では,温水パイプの耐久性と電熱シートの簡便性を兼ね備えたハイブリッドタイプのヒーティング装置の開発を行うとともに,ロードヒーティングへの適用性に関する検証実験を行うことを目的としている。平成21年度は,ヒーティング装置による融雪量と気象条件による融雪量とを把握するため,新潟県妙高市立姫川原小学校に設置したウェザーステーションの観測データから日射量・気温・風速および日照時間による融雪量と降雨による融雪量を取り入れた融雪モデルを提案するとともに,平成21年度農業農村工学会全国大会にて発表した。また,ヒーティング装置の開発では,平成20年度の検討結果を踏まえ,封入ガスを代替フロンHCFC,液化石油ガスの2種類に絞り込み,多重ループ管による昇温実験を行った。昇温実験の結果,代替フロンHCFCの成績が良かったことから,HCFCを封入した多重ループ管(間隔5cm)をコンクリート平板に埋設して室内での融雪実験を行った。また,妙高市の赤倉温泉郷にて測定した温泉排水温度が30~40℃程度であったことから,融雪実験に際しては水温を15~40℃に設定し,融雪状況の確認を行った。その結果,15℃程度であっても十分に融雪効果が得られることが確認された。さらに,多重ループ管の間隔が融雪特性に及ぼす影響を確認するため,既往の文献を参考に間隔を10cm,16cmとした多重ループ管を埋設した1m×1mのコンクリート平板内を2枚作製し,長野県飯綱高原にて屋外融雪実験を行った。 屋外実験では,実験期間内の気温は-2~-6℃で,水温を15~20℃とした。その結果,管の間隔が16cmであっても十分に融雪効果が得られることが確認された。 この他,舗装体内にヒーティングパイプを埋設したときの上載荷重に対する構造的安定性の検討結果(平成20年度に実施)をとりまとめ,土質材料が異なった場合の路床土の永久変形予測式を提案し,土木学会舗装工学論文集第14巻(平成21年12月)にて公表した。この成果は,土木学会舗装工学委員会による「舗装工学ライブラリ(平成22年発刊予定)」において,アスファルト舗装設計における"わだち掘れ量"照査方法の一つとして紹介されることになっている。
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