研究概要 |
本研究の目的は水田の条間(稲列間)を移動し,除草を行う小型ロボットを開発することであり,特にその推進装置の開発研究に重点を置く。湛水面上を土を撹拌しながら移動する装置として,回転するスクリュー状の推進装置を試作し,実験を行った。 まず,回転に必要なトルクや移動速度等の基礎的なデータを取得するため,基礎実験装置を製作し,小型の土壌槽で実験を行えるようにした。この装置ではスクリューの回転速度,水深,沈下量,けん引負荷など各種のパラメータを変更できるようにした。今年度は特にスクリュー羽根の形状,ピッチ,幅,高さ,等を様々に変えて実験を行った。実験の結果,スクリュー型の装置により,湛水面上を推進できることを確認した。しかし多くのパターンで,土を掻き出す作用が大きく,予想以上にエネルギーの損失があることが判明した。土壌をよく攪拌し,表面付近の粘性を小さくすると,土を掻き出す作用は小さくなるが,推進も遅くなった。羽根の形状については高さの影響が大きかった。全体を通して,土との摩擦損失が大きく,回転力から推進力への転換が十分に行われなかった。 今年度は実験装置の製作に時間を要し,実験や数値解析による最適形状の特定を行うには至らなかった。しかしながら,推進が可能であることは確認できたので,次年度はエネルギーロスのメカニズムをより詳細に検討し,推進速度を上げる方向で研究を進める。
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