研究課題
萌芽研究
不活化ワクチンを用いて強い免疫応答を誘導するために免疫賦活剤(アジュバント)がしばしば利用されるが、毒性・安全性の問題から実用化されているアジュバントは少ない。本研究は、ウイルス感染に広く認められる抗体依存性感染増強現象(ADE)に着目し、マクロファージや樹状細胞等の抗原提示細胞に効率よく取り込ませるための手法を開発し、液性免疫および細胞性免疫の両方を誘導する安全なアジュバントとしての抗体の可能性を探るものである。不活化ウイルス抗原として、エボラウイルスのウイルス様粒子(VLP)を作出した。このVLPは、表面にウイルス糖蛋白質GPをもち、粒子の内側はVP40蛋白質によって内張りされた粒子である。このVLPをGP特異的ADE抗体、中和抗体およびどちらの活性も示さないモノクローナル抗体(いずれもGP特異的抗体)とそれぞれ混合し、マウスの皮下または腹腔内に接種して、経時的に抗体応答をELISAで解析した。ウイルス抗原と共に接種した抗GP抗体が血中に残存している可能性があるので、新たに産生されるVP40に対する特異抗体のみを検出するために、VP40のみを含むVLPを抗原に用いたELISA法を確立した。ADE抗体、中和抗体およびどちらの活性も示さないモノクローナル抗体を用いた場合でも、VP40に対する抗体応答に顕著な差は認められなかつた。濃度と接種頻度の検討が必要であることが示唆された。また、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(H3亜型)に対するモノクローナル抗体を多数作出した。これら抗体を用いた実験系の確立に着手した。
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