研究概要 |
1. 牛アミロイドーシス症例材料の採取 本年度は帯広畜産大学に搬入される牛アミロイドーシスおよび慢性炎症等各種疾患症例のうち、病理学的に確定診断された症例64頭の血清および尿材料を新たに採取し、今後の解析用に冷凍保存すると同時に、一部材料についてはプロテオーム解析を行った。また、タンパク尿を呈する症例のうち希少な症例を経験したため症例報告を行った。 2. アミロイド蛋白のプロテオーム解析 (1) 牛アミロイドーシスおよび慢性炎症の血清材料を二次元電気泳動で分離した後、SAAアイソフォームに対応する各スポットのパターンを比較したところ、アミロイドーシス牛10血清では, SAApI5.2, 5.6, 6.1, 6.4, 6.8, 7.7および8.6、計7種のアイソフォームが検出され, そのうちpI 5.6, 6.1, 6.4, 6.8, 7.7の5種は全検体で共通して認められた。またpI5.2と8.6はそれぞれ4検体および9検体に認められた。一方, 対照とした慢性炎症牛10血清においても, アミロイドーシス牛血清と同じ7種のアイソフォームが検出されたが, 共通してみられたのはpI 6.4, 6.8, 7.7の3種のアイソフォームのみであった。慢性炎症牛血清では、pI 5.2と8.6の検出頻度は低く, それぞれわずか1検体および2検体にみられたのみであった。健康牛血清ではSAApI7.7のみが痕跡的に認められた。SAApI52および8.6のアイソフォームの高頻度な出現はアミロイドーシス牛の特徴所見と考えられ, 診断的意義があると考えられた。 (2) 尿中アミロイド蛋白の解析を行うにあたっての、最適条件を見出すために、尿の濃縮、脱塩等の処理方法について検討を行った。
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