研究課題
本年は、より簡便な牛アミロイドーシス検出法開発に資するため、アミロイドーシス症例の尿蛋白を解析してその診断的意義を検討するとともに、アミロイドーシス特異的タンパク質のプロテオーム解析によりその発症機構を検討した。病理学的にアミロイドーシスと確定診断された牛3症例、およびアミロイドが沈着していないことが確認された尿蛋白陽性の慢性炎症牛3症例(創傷性心膜炎、肺炎、胸膜炎)より採取した尿を用いた。尿を3000rpmで10分間遠心し、その上清10mlを3kDa分離カラムにより濃縮後、プロテオーム解析を行った。陽性コントロールとして慢性炎症牛血清よりクロマトグラフィー法により分離精製した牛SAAおよびアミロイド沈着腎臓より水抽出法にて分離した牛AA蛋白を用いた。アミロイドーシス牛3症例および尿蛋白陽性慢性炎症牛3症例の尿サンプルで牛SAA蛋白と同分子量の14kDaにバンドが認められた。さらに、アミロイドーシス病畜3症例の尿サンプルではスポットがpI塩基性側に、また慢性炎症病畜3症例の尿サンプルではスポットがpI酸性側に多く出現する傾向が認められた。アミロイドーシス牛の尿蛋白中にはSAAならびにAAが含まれており、特に尿中AAの検出はアミロイドーシスの生前診断に有用である可能性が示唆された。さらにアミロイドーシス特異的スポットの質量分析ではトランスサイレチンが検出され、アミロイドーシス発症との関連が示唆された。
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北海道獣医師会雑誌 54
ページ: 61-63
Journal of Veterinary Diagnostic Investigation 21
ページ: 874-877